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同意説明文書

ver 20240711

「日本人のための遺伝子解析サービス Green Chord」(以下「サービス」)について以下の項目を説明いたします。この説明書は「個人遺伝情報を取扱う企業が遵守すべき自主基準(2023年1月改正: 一般社団法人遺伝情報取扱協会)」、「医療における遺伝学的検査・診断に関するガイドライン(2011年2月改正:日本医学会制定)」、経済産業分野のうち個人遺伝情報を用いた事業分野における個人情報ガイドライン(2022年3月改正:経済産業省)などに基づいて作成されています。

 

1. 検査の目的

 このサービスは受検者に対してゲノム情報や遺伝子情報を解析して遺伝学的リスクを結果報告するものです。医師が受検者に対して、アドバイス(食習慣や運動習慣など生活習慣の改善)をすること、早期発見の有用性を説明することで、受検者のリスク削減や健康増進に貢献することを目的としています。

 疾患のリスクと関連する遺伝子については、次に掲げる表のように大別されます。「レアバリアント」は病気への影響度は高いのですが、出現する頻度は稀です。一方「コモンバリアント」は、頻度は多いのですが、病気への影響度は低いものです。このような遺伝要因にくわえて、環境によって遺伝子が修飾を受ける場合など、多くの複合的な因子が疾患リスクの違いに関わっています。今回病気の遺伝的リスクとして解析するものは「疾患関連遺伝子のゲノムワイド関連解析(GWAS)等で判明したコモンバリアント」のみです。このためリスク予測としては十分なものではないことをご了解下さい。「レアバリアント」による疾患は家族内に集積することがあります。本検査では「レアバリアント」の解析は行いませんが、それを補完する目的で、家族歴の聴取を行うことがあります。家族歴の取り方については別途ご説明しますが、わかる範囲内で結構ですから家族歴をお教え下さい。

 図:疾患に関連する遺伝子と影響の程度

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2. 検査受託の条件

 このサービスでは、唾液あるいは血液を試料としてゲノムDNAを抽出し、マイクロアレイ(米イルミナ社Asian Screening Array、米サーモフィッシャー社Axiom・ジャポニカアレイ)を用いて(補完的にPCRも用いることがあります)、一塩基多型(SNP)※を検査(1次解析)します。試料から1次解析できるのは1回のみで、約66万カ所のSNPを検査しています。この1次解析の結果は原則として生涯変化しないものです。このサービスに用いる1次解析技術は研究目的で開発されたもので、診断行為等に用いる臨床目的で開発されたものではありません。そのため1次解析の精度には限界があり、一部または全部の項目で解析結果が得られないことや、正しい結果報告が提供できないことがあります。

 2次および3次解析では疾患・体質・薬剤と科学的知見とを関連付けして遺伝学的リスクを算出して結果報告書として提示しています。さらに、遺伝環境要因の比率、有病率、疾患説明等の情報とあわせてリスク削減と関連する論文情報を結果報告書に補足情報として提供しています。結果報告書で提示される項目は別紙の「解析する疾患・体質・薬剤の項目」を参照してください。新たな研究報告や特許権の設定等により、あるいは解析技術等の理由により、項目が追加あるいは削除される場合があります。その場合、ホームページ(https://www.greenchord.jp)に最新の項目を掲載します。

 また、結果報告で示している遺伝学的リスクは受検者本人のリスクではなく、特定の塩基配列を持つ集団の平均的なリスクを示しています。リスクが高いことが必ずしも疾患を発症することではなく、また低いことが同様に発症しないことを意味するものではありません。複数の遺伝要因が複雑に関与して疾患のかかりやすさに影響を与えています。このサービスではその時点で最も信頼できる論文やデータベースを参照してSNPを解析するプログラムしています。しかしながら、1次解析その他の制約のため、正しくリスクを報告することはできません。したがって、他の検査と比較してリスクが異なるということも生じます。また多くの疾患項目では、遺伝要因よりも環境要因の方が疾患のかかりやすさに強く影響しています。これらのことから臨床的な妥当性や有用性が充分ではなく、このサービスは医療行為、診察行為、診断行為、医学的助言を与える行為ではありません。

 

一塩基多型(SNP)※

※一塩基多型(SNP):人のゲノム配列はおおよそ30億塩基対でできています。標準的な塩基配列と比べると1%以上の頻度でみられる多様性(多型)で、1%未満の頻度で生じる突然変異とは区別されています。SNPの頻度が30〜40%以上のものも多く、要するに「個性」と考えていいでしょう。ゲノム全長30億塩基対のうち約2,800万カ所にあるといわれています。SNP以外の遺伝学的情報もありますので、SNPだけが遺伝学的要因を決定するものではありません。

 

3. 検査試料の取扱い

 検査試料(唾液もしくは血液)は解析機関に送付されて検査が実施されます。ゲノムDNAの抽出から1次解析(ジェノタイピング)までは株式会社プロップジーン【所在地:東京都杉並区高円寺北2-3-4】、ユーロフィンジェネティックラボ株式会社【所在地:北海道札幌市中央区北9条西15丁目28番地196 札幌ITフロントビル3F】、株式会社理研ジェネシス【所在地:東京都品川区大崎1-2-2】、株式会社マクロジェン・ジャパン【東京都江東区青海2-4-32タイム24ビル16F】、およびジェネシスヘルスケア株式会社【東京都渋谷区恵比寿4-20-3】に委託します。特定非営利活動法人こどもたちのこどもたちのこどもたちのために【所在地:東京都千代田区有楽町2-10-1、以下「NPO法人」】がDNA抽出から1次解析の委託先管理、2〜3次解析を行い、結果報告書を作成します。

 

4. 個人情報の取扱い

 当医療機関にて匿名化されます。当医療機関では、「医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイダンス(2020年10月改正:個人情報保護委員会/厚生労働省)」、「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン(2017年5月改正:厚生労働省)」を遵守するなど、安全管理措置を施し、責任を持って個人遺伝情報を取り扱います。また、個人遺伝情報取扱審査委員会を設置し、公正かつ中立的に事業の適否を審査しています。

 NPO法人は、DNA抽出・解析の受託にあたり、匿名化された試料(唾液もしくは血液)、その試料から抽出したDNAおよびデータ)を扱います。匿名化された試料から抽出された遺伝情報は、個人識別符号に該当するDNA塩基配列情報となるため、遺伝情報取扱事業者として安全管理を徹底しています。業務委託契約、仕様書を取り交わしています。NPO法人では倫理審査委員会を設置して遺伝子検査受託および研究について公正かつ中立的に事業実施の適否が審査されています。NPO法人の倫理規定や議事録等はホームページに公開されています。(https://www.kodokodo.or.jp

 

5. 検査後の検査試料の取扱い

 試料(唾液あるいは血液)を採取してから、おおよそ2ヶ月〜3ヶ月後に結果報告がされますが、再解析等の理由により遅れることもあります。結果報告後6ヶ月以内に試料および試料から抽出したDNAをすべて廃棄・消去いたします。当医療機関およびNPO法人は試料および試料から抽出したDNAを保管いたしません。NPO法人では解析データ、結果報告書データは品質管理目的のため、匿名化の上で保管します。(保存期限を定めない) スマートフォンアプリ「POSRI」利用規約への同意をし、結果報告の一部を反映する場合は当該アプリ内について説明する研究目的のために匿名化されたデータが利用されます。

 

6. 関連書類の取扱い

 個人情報が記載された依頼書等の関連書類は、当医療機関が責任を持って取り扱います。

 

7. 検査結果の取扱い

 結果報告書は、当医療機関が責任を持って取り扱います。

 

8. キャンセル・同意の撤回方法

 このサービスをキャンセルする場合は当医療機関にご相談ください。署名した同意書はいつでも撤回できます。その場合は当医療機関に、その旨を依頼してください。試料、試料から抽出したDNAおよび結果報告書等のデータをすべて廃棄・消去します。同意の撤回にあたり費用等は発生しません。

 

9. 個人遺伝情報の開示

 このサービスでは基本的には科学的な根拠に基づいて遺伝情報を開示するサービスであるため、追加で開示するには科学的な根拠が必要となり、ゲノムデータそのものは個別データを抽出して提示する仕組みとしていないため開示していません。ただし、偶発的発見の場合、それ以外の場合などさまざまなケースが想定され、当医療機関、NPO法人およびその倫理審査委員会が必要と認める場合は開示を行います。

 

10. 問い合わせ先・相談窓口

 このサービスに関するお問い合わせ、個人情報の訂正、および遺伝カウンセリング等に関するご相談は当医療機関までお願いいたします。

 

11. 同意の確認

 このサービスを受ける場合には、この同意説明書をよく理解した上で、同意書にご署名をしていただきたくお願い申し上げます。このサービスを受けることで以下の不利益を被る可能性があります。

 

不利益の項目・不利益の例

①不安が増大する可能性があること

 特定の疾患について罹患するリスクを知ってしまうことで、受検者自身が不安になり、健康を損ねる可能性があります。

②受検者が差別される可能性があること

 この検査の目的・意義が適切に理解されないまま、受検者がこの検査結果を第三者に開示し利用されると受検者が差別される可能性があります。たとえば保険加入、婚姻、教育や就労などに影響を与える可能性があります。

③家族関係に変化をきたす可能性があること

 二世代以上の家族間で検査結果を開示する場合、親子鑑定ができる可能性があります。たとえば受検者が血縁者と思っていた家族がそうではないなどの想定外の事実が判明する可能性があります。

④血縁者や子孫に不利益をもたらす可能性があること

 検査結果は受検者だけではなく、その血縁者や子孫と一部を共有することになります。そのため、受検者が検査結果を開示すると受検者の血縁者や子孫に不利益をもたらす可能性があります。

⑤新たな発見により不利益を被る可能性があること

 検査結果から、これまでとは異なる疾患についてのリスクとの結びつきが発見されることがあります。これにより想定外のリスク等が判明する可能性があります。

⑥個人遺伝情報が流出する可能性があること

 情報セキュリティー対策で万全を期しても不正アクセス等の問題で受検者の個人遺伝情報が流出する可能性があります。

⑦個人が識別されるおそれがあること

 遺伝情報は、氏名などの個人情報がなくても、個人を特定することが可能になります。そのことにより、現在は想定できない不利益を将来被る可能性があります。

 

12. 注意事項

 以下の注意事項を結果報告書に記載しています。

□ この検査は医療行為、診察行為、診断行為、および医学的助言を与える行為ではありません。

□ この検査では1%未満の確率で結果が得られず、正確・完全ではなく、誤った結果を示すことがあります。

□ 全ゲノム領域の約65万箇所(一部は相関の高い代理箇所)を測定し、遺伝情報を報告しています。

□ これまでに発表された研究論文等を統計的に解析して、遺伝情報を数値化(タイプ別分類)しています。

□ 疾患項目では、網羅的な全ゲノム領域の関連解析研究で複数の報告があるバアリアントをリスク計算に用いています。

□ 疾患項目の検査結果の相対リスクによって、実際に罹患する可能性を示すことはできません。

□ 体質など一部のデータは欧米人における研究に基づいていて、日本人での数値と異なる可能性があります。

□ 遺伝要因・環境要因については、主に欧州の研究論文を参照して算出しています。

□ 空欄もしくは"判定不能"の項目は、解析結果が取得できないか、その他の理由により検査不可となった箇所です。

□ 他社による特許権設定などにより、検査ができない項目があります。

□ どちらかの性別に特有の疾患については、その性別の方のみに結果報告をしています。

□ 参照論文等の情報は、該当のページもしくは巻末に記載しています。

□ この検査結果のため生じた損害(精神的苦痛、健康被害)などの責任を負いかねます。

□ この検査についてのお問い合わせは、当医療機関の医師や遺伝カウンセラーにご相談ください。

別紙:「解析する疾患・体質・薬剤の項目」

 2024年7月時点のもので、事前の通知なくアップデートされることがあります。

 こちらのページをご確認ください。

疾患に関連する遺伝子と影響の程度.png
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